これを食べずに死ねるか!!S級さぬきうどん制覇の旅。
讃岐うどんがブームになっていたのはいつ頃だろう?
私の記憶だと2006年に公開された「UDON」という映画がピークのような気もするが、ガイド本の出版などでそれ以前からも人気になっていたようです。
個人的な感覚ではありますが、「はな○るうどん」や「丸○製麺」が店舗拡大し、東京でも手軽に讃岐うどんが食べられるようになっており(あれは本当の讃岐うどんではないという方もいるようですが)、ブームというよりは既に日常のなかに組み込まれた食べ物の感じもしています。
元来食べることが好きな私も「いつかは本場の讃岐うどんが食べたいな~」などとは思っていましたが、仕事で全国を巡っている旅のプロとしては「行こうと思えばいつでも行ける」という感覚もあり、なかなか実行に移せない日々が何年か続いていました。
で、今年に入ってやっと香川県に行く決心が固まり、讃岐うどん巡りをすることにしたのです。
本場『香川県』で讃岐うどんを巡るにあたって考えたことは、当たり前ですが以下の事でした。
①「美味しいうどん」を②「できるだけ多くの店」で食べる!
①の美味しいという点ですが、これは今までの経験上、本当に納得感を得られるのはなかなか難しいということがわかっています。
そもそも美味しいという概念は主観です。Aさんが美味しいといったからといって、私にとってその料理が美味しいと感じるかどうかはわかりません。
まして、有名な讃岐うどんというものになると、ガイドブックには観光客向けの店しか載っていませんし、クチコミ評価サイトなどですと、訪問客が多い店は実力以上の高得点となっているものも見られます。
そこで私はまず、様々なうどん店を食べ歩いた方の書いたブログを見つけ、そこからめぼしい店を見つけることとしました。
インターネットでいろいろ調べたところ、讃岐うどんの有名なガイドブックである「恐るべきさぬきうどん」の中で厳選された「S級店」と言われる10店舗(現在2店舗が閉店)があることがわかりました。
また、そのS級に勝るとも劣らない名店を「準S級店」とし、10店舗ほどがその名前を挙げられていました。
本場の讃岐うどん初体験の私はとりあえず、この「S級・準S級」のなかから目標とする店舗を選ぶことにしました。
その次に②の出来るだけ多くの店を巡るという点ですが、この項目には主に2つの要素があげられます。
まずは、店舗の運営日時の問題。
讃岐うどんのお店の営業時間は朝8時頃に開店し、お昼過ぎの午後2時頃には閉店してしまうお店が多く、もっと極端な例になると営業時間が実質1時間程度という店もあります。
こういった営業時間の短いお店の多くは、正確には飲食店としての「うどん屋さん」ではなく、製麺所がうどんを提供するような場合が多く、その場合は大体お店の名前(○○製麺所など)にも現れています。
いかにも本場らしい雰囲気を持つ製麺所には是非立寄りたいのですが、こういった営業時間の短さが讃岐うどん巡りの旅のプランニングを難しくさせています。
ただし、このプランニングの難しさが逆に「旅の楽しさ」にもつながっていると思います。
もう一つの要素はお腹の許容量の問題。
人間ですからものを食べれば、お腹が一杯になってきます。
いくら消化の良いうどんでも無限におなかに入るわけではありません。そこで今回は讃岐うどんのメイン要素の一つである「麺」に注目して、天ぷらなど添え物は極力食べないという作戦で臨むことにしました。
上記のような要素を踏まえて「美味しいうどんをできるだけ多くの店で食べる」という今回の目的から選び出したうどん店は以下の通りとなりました。
9:00 高松空港出発
①山越うどん(かまたま)S級
②谷川米穀店(醤油)S級
③日の出製麺所(かけ)
④山下うどん【善通寺】(ぶっかけ)S級
もしくは
おか泉(ぶっかけ)S級
⑤長田in香の香(釜揚げ)S級
注1:山越うどんを早くクリアした場合 もしくは 山越をあきらめた場合は近くの「田村(S級)」「松岡(準S級)」
注2:谷川米穀店を早くクリアした場合 もしくは 日の出の営業時間に間に合わない可能性出た場合は「長田うどん(準S級)」「蒲生うどん(S級)」
とりあえずは超有名な5店舗を巡ることにしたました。さて、うまくいくでしょうか?
2014年7月某日 うどん巡り当日
出発地の東京は快晴 高松空港行きの飛行機も朝7:25に順調に出発しました。
午前 8:45 高松空港へ到着
空港からレンタカーを借りて出発します。
1軒目「山越うどん」 9:20
高松空港から程近く、レンタカーで20分程度の立地
休日には極端な行列ができる超有名店とのことで期待と不安を胸に訪問した。
平日だった為か行列が全く無く、カウンターで直ちに釜玉を注文。
急いで混ぜて、特製出汁で頂きました。
*その後も有名店を中心に巡りましたが、平日だった事、開店時間まぎわを狙った事などから
行列に遭遇することはありませんでした。
釜から上げられたうどんはもっちりとしていて、さすがにチェーン店とは異なる感じ、
ただ、期待が大き過ぎたのか、美味しいことは美味しいのですが、感動するところまでには至らず・・・
味や雰囲気、ロケーションなどを含め1度行けば十分満足できるかと。
仮にものすごい行列だった次回はスルーしますね。
2軒目「田村」 9:40
行列を覚悟していた「山越うどん」が予想外にスムーズにクリアできたので訪問
目の前の駐車場では車が絶えず入れ替わる状況ですが、水曜の9:30という時間帯であり、行列は無し
麺のコシが売りとのことで、冷たい麺を注文し、評判の温かいイリコ出汁で、
所謂【ひやあつ】の状態で頂きました。
うどんを口に含んだとたんに、いかにもな弾力のコシとやさしい中にもキリっとした感じのイリコ出汁が頭の中にある讃岐うどんのイメージと完全一致する逸品だと感じました。
民家の物置風の製麺場所で麺を打つご主人から直接受け取るうどん、
出汁もトッピングの天ぷらもセルフ、いかにも後から持ってきましたというテーブル、
食事後に自己申告で成り立つお会計など、これぞ「讃岐うどん」というものを堪能できました。
地元の方の評価も高いお店だと思いますが、観光でも訪れやすい立地、
雰囲気、もちろん美味しいうどんも堪能できる、必食のお店だと思います。
3軒目「三嶋製麺所」 10:15
2軒目の【田村】も楽勝でクリアし、訪問最難関と思われる【谷川米穀店】へ
しかし、予想外に順調な滑り出しにより時間的な余裕が出てきたため、行程の途中にある
当店へ訪問しました。
電話番号ではカーナビが反応せず、グーグルマップに頼りましたが難なく到着。
駐車場は空車、先客は無く待ち時間0で「冷たいの小」を注文
少量のネギと醤油をかけて頂きました。
個人的な讃岐うどんのイメージとは異なりコシはあまり主張してきませんが、
のびやかでみずみずしい、これまた美味しいうどんです。
あくまで雰囲気についてですが、東日本の某田舎出身の私にとっては
幼い頃、夏休みにばあちゃんが打ってくれた手打ちうどんを思い出します。
茹でたてのうどんを水でしめて醤油で頂くこのスタイル、かなりツボです。
しかし、どこにも看板がなく、民家と思われるお店の戸を開けると
いきなり注文を聞かれるという体験はなかなかに貴重。
この雰囲気が讃岐うどんの食べ歩きツアーをエンターテイメントにしているのでしょうね。
【谷川米穀店】に行かれるならこのお店もセットで味わうべきかと思います。
4軒目「谷川米穀店」 10:30
既に3軒のうどんハシゴをしているがまだまだ余裕の胃袋を満たすために車を走らせます。
徳島県との県境に近いなかなか山深い立地、場所とお店の雰囲気自体が観光地と言えるでしょう。
開店前の10:30に到着しましたが、店員さんに「もう開店してますよ」と声をかけてくれ店内へ
先客は1組のバイク乗りグループのみでした。
冷たいのの小を注文、ネギを少量乗せ、醤油、その後に青唐辛子の薬味、最後にお酢を少々かけ入れて頂きました。
うまい!
先ほどの【三嶋製麺所】よりはコシのある、それでいてモッチリとした食感を
感じる大変美味しいうどんです。
もう一杯お替りしたい衝動にかられましたが、この後のことも考えて思いとどまりました。
こんな立地にこんな美味しいうどんがあるんですね。
讃岐うどんブームが来る前はどんな営業をしていたのでしょうか?
すごく気になります。
週末はすごい行列とのことですが、それが悩みどころでしょうかね。
5軒目「蒲生うどん」 11:15
最難関だと思っていた【谷川米穀店】もあっさりクリアしたため、
営業時間が昼の1時間のみというこれまた難関の【日の出製麺所】に行く途中にこちらを訪問。
電話番号でも、住所検索でもカーナビは反応せず。
近くに着てからグーグルマップを頼りに到着。
普段はこちらも相当の行列を覚悟する人気店なのですが、水曜の11:15という時間帯で行列は無し、直ぐにうどんを注文できました。
今回は「熱いの小」に熱い出汁をそそぎ、所謂「あつあつ」に。
お会計の前に並んだ天ぷら等の中でおいしそうな「おあげさん」が目に留まり今回のツアーで初めてサイドメニューをトッピングしました。
そろそろセルフ店にもなれてきて観光客の私でもスムーズに注文できるようになっています。
店内のテーブルは手狭だったので、お店の外の長いすで頂きます。
出汁を一口すすると、イリコの風味となんともいえないやさしい甘さが広がります。
【田村】でいただいたシャープな感じの出汁とはまた違った美味しさ。
思わず「うまい!」と言葉を発してしまいました。
うどんのコシも程よく、のど越しとのバランスもすばらしく感じました。
甘辛く煮た「おあげさん」もいいアクセントになっており、瞬く間に完食。
大変満足しました。
たべろぐの高評価は伊達じゃないですね。
このうどんを目指して旅に出てもいいレベルだと感じました。
6軒目「日の出製麺所」 11:35
【蒲生うどん】にも満足した後、営業時間がわずか1時間という難関の人気店である当店へ
水曜 11:35という開店間もない時間の為、店内は混んでいるもののすんなり席へ通されました。
注文は入店前に店員さんに聞かれますので、量と熱いのか冷たいのかをオーダー。
会計は食べた後に自己申告でした。
今回、私は冷たいの小を注文。
出汁はテーブルに用意されているので、あったかい出汁やぶっかけ出汁、醤油などをお好みで入れる形式でした。
店内でうどんを待っている間に店員さんが「あったかいおうどんはただいまで終了します。」と宣言
たぶん、釜揚げは開店後直ぐに製造を終了してしまうのでしょうね。
もしかしたら、そっちを注文したらよかったかも?と思いつつ、自分のうどんを待ちました。
ほどなく、冷たいの小が到着、まずはそのままで一口。
かなりのコシと角のたっキリっとしたうどんで、讃岐うどんのイメージにもぴったり。
その後は、温かい出汁をかけて所謂「ひやあつ」で食べてみます。
うどんは非常に美味しく、本日の中でもトップクラスだと思うのですが、
出汁については【蒲生うどん】や【田村】には及ばないような気がします。
醤油や釜玉などで食べると私の味覚にあったうどんなのかもしれませんね。
そもそも製麺所ですし。
食べ終わって支払う際に店員さんに値段を聞くと(どうせ安いので値段を気にしなくなっていました。)
なんと小一杯が【100円!!】
このうどんが100円で食べられるのですか・・・・
う~ん、讃岐うどん恐るべし!
繰り返しになりますが、麺はとっても美味しいので、お土産を買って帰ることにしました。
さて、自宅でもこの美味しさを再現できるのでしょうか?
醤油ぶっかけ か 釜玉 で食べる予定で今から楽しみです。
7軒目「おか泉」 12:05
営業時間がわずか1時間という難関の人気店である【日の出製麺所】もクリアし、
昼時は行列必至といわれる当店へ
水曜 12:05という時間に到着、店外の並びはなくすんなり席へ通されましたが、
私たちのグループでほぼ満席。
その後に続々とお客さんが集まり、直ぐに15名程度の行列になりました。
やはりお昼時。5分程度のズレが行列を生みますね。
注文は「ぶっかけ天ぷら(えび1本)」
看板メニューの「ひや天おろし(えび2本)」との違いは海老の本数のみとのことでした。
今回のツアー初の店舗タイプで、着席時に注文を取ります。
待つこと10分程度、つやつやした美しいうどんと揚げたての立派な海老が乗ったどんぶりが登場。
提供時間から考えるとできたてをいただけたようでした。
とりあえず、うどんだけ一口いただきます。
程よいコシともっちりとした食感、のびを感じるうどんで、
なんとなくですが【谷川米穀店】と近い雰囲気を感じました。
こちらの方がちょっとコシが強いかも。
ぶっかけの出汁もいい塩梅で、7杯目ですがするすると麺が進みます。
のど越しもGOOD。
これまた大変美味しいうどんに出会えました。
天ぷらは海老も立派で、味も上品。
今回の旅はこれで終了ですが、そのフィナーレにふさわしいうどんで、
知人にも是非食べてほしいと思えるお店でした。
ブログ等で地元の方の評価を見ると、「値段が高い」というものも見かけますが、
麺の量もセルフ店や製麺所で提供される「小」の2倍程度はありそうですし、天ぷらもあげたて
座ってゆっくり食べられることも考えると、観光客にはかなりコストパフォーマンスの良い
お店といって良いのではないでしょうか?
営業時間も長く訪問しやすいのも魅力。
で、全体の総括ですが、今回の旅で初めて本場の讃岐うどんに触れ、一口に「讃岐うどん」といってもお店によってうどんの個性が異なり、ロケーションやお店の雰囲気、店員さんとのやり取りなど、食べ歩きとしてだけでなく、観光としても想像以上に楽しめました。
また機会を見つけ、今回は訪問できなかったお店中心に第2回の旅を決行したいです。