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悪い子はいねえが!悪い大人になってしまったか!男鹿半島・ナマハゲに渇をもらう


年末のニュース。
『悪い子はいねーがー』『泣ぐ子はいねーがー』と騒ぐ鬼。それを見て逃げ出す子供。。
TVで見ていると、泣く子供達にいつも思わずクスッと笑ってしまう。

東北の民俗学や伝承には興味深いものがあるが、その中でもナマハゲは面白い!と思ったのは、
遠い場所に行った旅行先の面白味に溢れていた物だったからか、それとも。。

 

秋田県の沿岸部に位置する、男鹿半島。はっきり言って非常に遠い。
東京から秋田新幹線で約4時間。そこから車で約1時間。
飛行機なら、羽田から秋田空港へははすぐだが、そこから車で約1時間
車なら東京から高速利用+下道で約7~8時間近く掛かる。中々の距離だ。

そう言いながらも私は、今回、男鹿半島は実に4回目である。しかも車で。
勿論、4回も行くにはそれ相応のものがあり、それこそがナマハゲなのだが、でもただのナマハゲじゃない。本物を本物の時間設定で興味深く体験して見れるのは、男鹿半島に行かねば観る事は出来ない。

それが男鹿半島にある「なまはげ館(説明)」と「男鹿真山伝承館(体験)」。
私はそれを男鹿半島の素晴らしきエンターテイナーと呼んでいて、正直語弊があるかもしれないが、絶対面白いと思っているので、今回もまた大曲花火のついてでに行ってしまったのだ。

今回は、エンターテイナーだけでなく、「ナマハゲ自体、何なのか」というテーマを掲げ、それも紹介しつつ、秋田に行ったら、、いや、行かなくても旅行先に是非組み込んで欲しいと思うので、今回は旅ブログでちょっと紹介させて貰おうと思う。

まず「ナマハゲ」とは、何も子供や初嫁を驚かしたり叱ったりするだけの鬼ではなく、怠け心を戒め、無病息災・五穀豊穣・山の幸・海の幸をもたらし、年の節目にやってくる来訪神の事を言う。

起源には、漂流してきた異人説や山の神伝説など諸書あるそうだが、修験者説が最も可能性ありそうだなと私は思うので紹介する。男鹿半島には本山・真山という山が中央にあり、古くから修験道の霊場だったそうだ。時々、修験者は山伏の修行姿で村里に下りて家々をまわり祈祷を行っており、その凄まじい修験者の姿(髪は長く髭もボーボーだったのだろう)をナマハゲとして考えたという説がある。

そのナマハゲの伝統、伝承の行いは、毎年村の若い衆がナマハゲに扮して、家々を小正月(現在は年末)に廻っているのだが、そのナマハゲ行事は今に始まったことではなく、江戸時代には、既に紀行家、菅江真澄によって紹介されており、古くから村に根付いた行事だという事が解る。

男鹿半島の地区によってナマハゲの現れ方や所作は異なるようだが、基本的な考えはナマハゲは寒い小正月、真山、本山から下りてくると考えられている。ナマハゲに扮する若い衆はそれぞれ面を被り、ワラ製の衣装に着替え、心身ともにナマハゲと化し、家々を上がり、大声を上げ動き回るのだ。あくまで神様だから、家の主人はナマハゲに酒や料理を振る舞い、ナマハゲを宥め、感謝し、そして次の家に送り出していく。

男鹿半島には60以上もの地区があり、それぞれの地区で使われて来た面や衣装が「なまはげ館」に展示されており、手作りと解っていても表情がそれぞれ違い、興味深い。よくここまで怖い顔に仕立て上げたなというものもあれば、ナマハゲのイメージを覆しそうな可愛い物もある。鬼伝説や、鬼の面は全国津々浦々あるが、ここほど集まっている場所は他には例を見ない(私が知らないだけかもしれないけど)。

なまはげ館では実際に、衣装や面を付け、なまはげになる事も出来るが、今回はインスタ映えを狙っている人が多いのか、やけに並んでいた。15年程前に初めて行った時もそれを身に付けて写真を撮っていたところ、ツアーのおばちゃん達がナマハゲの私を見て、職員かと思ったのか、ナマハゲさ~ん写真!一緒に写真!キャー!私の首切って~!とおかしな人達がわんさか来たのを覚えているが、今回は流石にそういうのは無かった。

なまはげ館は、その他に、行事を大きなスクリーンで紹介するコーナーや、世界の鬼を紹介するコーナーがあるが、それはさておき。

私が一番楽しみにしているのは「なまはげ館」の隣にある「男鹿真山伝承館」だ。
男鹿の北浦真山地区で、大晦日に行われるナマハゲ行事を丁寧に説明して頂いた後、実際にナマハゲが来るのを忠実に再現したそのものを見る事が出来る。伝承館は真山地区の典型的な曲屋(まがりや)の民家の中で演技され、ナマハゲとそれを相手する家の主人の言葉遣いは秋田弁のようだ。男鹿の言葉を使うから雰囲気は抜群。今は、大晦日の夜だから、と主人が観客の皆にタイムスリップさせた後で事が始まる。

真山地区ではまず、先立(さきだち)という者が事前にナマハゲの訪問を告げ、ナマハゲが家に踏み入れて良いかを確認した後にナマハゲが家に入るのだが、入る前にドンドンドン!と家の板襖を叩くから、皆ビックリ。
その後、家に上がったナマハゲは「泣く子はいねがー」「悪い嫁はいねえがー」「怠け者はいねがー」と大声で呼びながら家中を動き回る。 色々と所作があった後、主人はナマハゲをなだめ、今年の五穀豊穣をナマハゲさんのお陰だと感謝し、料理や酒でもてなす。その後ナマハゲと主人の問答があるのだが、それがまた色々考えられていて面白い。主人は色々言い訳をするが、ナマハゲの持っている台帳の様な大きなノートには、その家の子供や初嫁の数々の怠け情報が書かれており、思わず笑ってしまう。以前初めて男鹿真山伝承館に来た時は、『嫁のみつ子はとても怠けているそうだな、みつ子出せー!とナマハゲが唸っていたところ、観客の中に実際みつ子という人がいたらしく、その友人らしき女性が、「みつ子さんここにいるよ!」と声を上げたもんだから、「みつ子、そこにいたかー!!とワーキャーなったもんである。そういうハプニングがあったからこその4回目なのかもしれないが、ナマハゲ行事の再現は以前と変わらず顕在で、今回も面白く楽しく観る事が出来、大満足だった。

今回のテーマは「ナマハゲ自体、何なのか」、ナマハゲの存在を考える事だった。男鹿の人々はナマハゲという神的存在があるからこそ、日々精進、日々感謝、するという考えが出来るのではなかろうか。神仏の信仰とはまた違う、人々の心の中にナマハゲがおり、自分の日々行動を戒める為の心の中に必要な鬼を具現化したものではなかろうかと。まあ私のまとめ等、月並な考えではあるが、大事にしたい事だ。

現在、なまはげ行事は先にも記載した通り、大晦日の夜に行われるが、地元の行事だけに観光客が観る事は中々難しい。逆に観光化されなかったからこそ、長く大事にされているのかもしれない。この「なまはげ館」と「男鹿真山伝承館」は年中、ナマハゲを体験する事が出来、勉強にもなり、面白味も十二分にもあるので、遠い、、、けど是非行ってみて欲しい。

また、毎年2月の第2金・土・日曜には冬の東北五大祭りのひとつ「なまはげ柴灯まつり」が行われている。私もまだ行った事が無い。雪の中のナマハゲはまたより「感じる」事が出来るかもしれない。