ワタクシ的、秋田「味」探訪。
どうも。企画チームのフカヤです。
行ってきましたよ、旅に!
ホント、いいですよねぇ、旅
帰ってきた直後は、なかなかその余韻が消えず、
仕事が手に付かないほど。(・・・すみません)
さてさて、何にそんなにうっとりしているかというと、
あったんですよ、秋田には。
私が欲しいものが
その土地には、その土地にしかないものがあります。
それは、“福岡のめんたいこ”のように、
誰もが知っているものもありますが、
少なくとも、私のツボじゃぁ、ありません。
例えば、山梨県の富士吉田市のスーパーには
何種類ものほうとうの麺が売られているとか、
わたくしの地元のスーパーには「しるこさんど」が必ずあるとか、
高知の日曜市には必ず果実酢で〆た熟れ寿司があるとか・・・
地元の人の生活圏のなかにこそ、
真の食文化、真の特産物がある!
私は、それに会いたい・・・!
まず狙いを定めたのは、「朝市」。
もちろん、観光市じゃダメです。
地元民8割以上の濃厚なやつじゃないと、血湧き肉躍りません
そして見つけたのが、八郎潟の近くの小さな町、五城目町の朝市。
なんと、開催は2と5と7と0のつく日だけ。
いやっほーい
今回の旅は、偶然にも9/6~8の予定だー!!
ということで、五城目の朝市に7日に行くことを要にして、
ルートを決めました。
隙さえあればガンガン食いたいので、
交通費や宿代はなるべく抑えるというのも、今回の大事なテーマ。
さて、9月5日(金)23:30。
私と相方は、東京駅にて仕事終わりに待ち合わせ。
ここから岩手県盛岡市まで、6時間のバス移動です
新幹線代は13,000円強、かたやバスなら6,000円です。
少々体は軋みますが、それもまたいいじゃないっすか。
青春の旅ってかんじで(※現在、31歳)。
6日(土)7時頃、盛岡に到着。
レンタカーを予約しておりますが、
なぜかタクシーに乗り込む我々。
国道をひとたび曲がったら、
どんどん生活感が色濃く漂う住宅街へ進むタクシー。
どこへ行くのかー
15分ほど走ってやっとたどり着きました!
「神子田の朝市」!
おばあちゃんたちが丹精したぴかぴかの野菜、
素朴な秋の切花、
丸ごと一匹の魚が店先にゴロゴロ横たわる魚屋さん、
あっちのおっちゃんは生蕎麦売ってるぞ。
Tシャツにサンダル履きのラフな格好でぞろぞろ歩くお客さんもなにやら慣れた感じで、「どうも~」なんて声が柔らかな盛岡弁で聞こえてくる。
「おばあちゃん、この瓶に入っているのはなに?」
「唐辛子と米こうじのおしょうゆ」
「おばあちゃんが作ったの?」
「そうよ、冷奴にかけてもいいし、お蕎麦を食べてもおいしいよ」
「いくら?」
「小さいのは、えーと(手書きの料金表を一応確認。キュート)300円」
「おじさん、コレ、このまま食べれんの?」
「おぅ、そのまんま食べれるよ」
「えー、ホントに?焼かなくていいの?」
「大丈夫だってぇ。もしあたったら病院にいけばいいだけだー。がはははは」
「がはははは」(つられて爆笑)
「いっつも適当なのよ、この人。あはははは」(奥さん、爆笑)
「適当すぎー。あはははは」
ドライブの途中に食べる朝ごはんを調達。
相方が買ったのは、蕨などの煮物。ビニール袋に直入れがニクい!
私が買ったのは、はまぐりの貝殻にてんこ盛りの蒸したウニと
餅粉を使った伝統菓子のきりせんしょ。
トクー!レンタカーで激安に借りたデミオを運転し、
これから、角館~秋田~五城目へ。
盛岡の隣町、道の駅「雫石あねっこ」にて、トマトやおこわなどを調達し、
外のテーブルで朝ごはーん。
通りすがる人々がじろじろ見ます。「見て、でっかいウニ」。
まあね。うふふ
味シミシミの素朴な煮付けとおこわ、最高の相性。
ぎっしりと身が詰まったウニを豪快に掬っては喰らう!
デザートは、餅粉で作った伝統菓子のきりせんしょ。もちもち。
噛むと中からとろーり黒蜜と胡桃の香ばしさ。
その後、立て続けに道の駅に寄ったけど、
さすが東北。さすがお米の国。
おかずも、お菓子も、米を使ったものが多いですねー。
熟れさせ、粉にし、焼いて、蒸して、
本当に多彩で素朴な米料理に会えるのです。
お米といえば、田園風景が、本当に美しい。
表面に黄金色をまとい始めた田が、あたり一面にゆったりと横たわり、
日の光を浴びてぼんわりと発光しているかのよう・・・。
雲の影、山の影を映しながら、広大な田は、どこまでも続きます。
あー! あれは・・・蕎麦畑!
白く細かな花がびっしりと畑を埋め尽くしてます。
憧れの蕎麦の花畑だ!
車を止めてくれぇぇっ!!
走りました。
革靴が朝露に濡れてもかまってられない。
この季節だけのこの土地のこの風景をじっくりと目に焼き付けたい!
青さの残る田園の中に突如現れる鮮烈な白。
美しいです。
秋田方面へ、さらに車は進む
ん、あのパラソルのおあばちゃん、さっきも道端にいたよね?
Uターンして、近寄ってみると「パラソルアイス」。
頬かむりしたおばあちゃんが、じりじり照りつける日差しの中、
カラフルなパラソルの下でこっくりこっくり居眠り。
お味は昔懐かしいラクトアイス。
ヘラでバラみたいにコーンに盛ってくれました。
これが知る人ぞ知る、秋田名物ババヘラアイス。
パラソルアイスは、その後も我々の旅路にたびたび姿を見せ、
そのたびについ買いたくなるのでした。
その後、田沢湖方面へと一旦道を逸れ、
乳頭温泉、その奥の蟹場温泉で
東京から引きずってきた汗と疲れをさっぱり流す。
この辺は、混浴風呂が多いのですねぇ。
有名な乳頭温泉の鶴の湯は、今さらさておき、
蟹場温泉がとてもよかったです。
歩くたびに軋む渡り廊下を辿って内湯へ。
床から天井にかけて飴色の秋田杉が張り巡らされていて、
ほんのりと木の香が香るような浴場です。
透明な湯ですが、よく見るとふわりふわりと薄く大きな湯の花。
湯はかーっと熱く、湯上りはさっぱりとして、汗が引くのも早い。
薄暗い浴場から、大きな窓ガラス越しに鮮やかな緑が映え、
山深い里の湯の風情がたっぷりです。
混浴の露天風呂が有名のようですが、
昔ながらの湯宿を思わせる内湯が、私は好きです。
角館で武家屋敷などをチラ見し、
稲庭うどんをチラ食い。
秋田市街を通り抜けて、いよいよ五城目の近くの一軒宿に到着。
このあたりの名物、「だまっこ鍋」を食べ(撮り忘れました、食べるのに夢中で)、
とろとろとした美容液のような温泉に骨抜きにされ、
なんと、21時には爆睡
さて、翌日は、
念願の五城目の朝市へ。
量販店やファミレスなどない、静かで小さな街。
小さな神社の前のちょっとした通りが、五城目市場の会場になっていました。
頬かむりしたおばあちゃんたちが座り込み、行きかう人に、のんびり声をかける。
膝元には、無造作に野菜を盛った籠皿やビニール袋。
朝露が降りたばかりの畑で、摘んできたんだろうなあ。
あちらのおじさんとこには、まだ土がたっぷり付いたキノコ。
樽に漬けてあるこれはなんだ?
「知らんの?」(店のおねえさん)
「あらー、この人“せおいに”食べことないって」(隣の梨売りのおばさん、介入)
「えー、食べたことないのぉ?」(その隣の野菜売りのおばあちゃん、介入)
「これは、“せおいに”とか呼んでるんだけど」
「せ・お・い・に?」
「そ、重いから背負わないと運べないから、そんな風に呼ばれてるけどねぇ」
「へぇ~」
「これは、塩漬けにしてるから、ぬるま湯で塩抜きしてから、煮たり炒めたりして食べるのよ」
欲しい・・・。ぜひに欲しい。
「あっ、これミズだよね」
「そう」
これは、塩茹でしてショウガと和えたりすると旨いらしい。
いくつかの道の駅でも見つけた山菜“ミズ”。
小さなコブが付いていて、これをつぶすと粘りが出る。
ついに、ついに、買うときがきたか!
「ミズもちょうだい!」
相方を探すといつのまにか両手に袋。
佃煮やら、梨やら、しこたま買い込んでます。
「え、梨嫌いじゃなかったっけ?」
「いや、つい・・・」
さらに、さっき見たワカメを買いたいと申します。
お目当ての店の前に来て、おばちゃんにそう伝えると、
むんずとワカメをつかんだかと思ったら、スーパーのビニール袋にぶちこんだぁぁ!
「はい、500円」。
いいなぁ。こういうの、いいなぁ
名残惜しさを感じながら、
果たして我々は、男鹿半島を経由して、大館方面へ向かいます。
滑らかな曲線を描きながら幾重にも重なる岬の景色、
崖の際を青く透かす澄んだ海。
はぁ~、きれいねぇ。
土産物屋が立ち並ぶドライブインじみたところで、
ランチをとることに。少々、不本意ですが
一応、石焼鍋を喰っておきました。
焼けた石を、ぶつ切りの鯛をぶち込んだ桶の中に入れ、
ぶくぶく沸騰させる、秋田名物の鍋です。
相方が喰ったのは、一杯2100円のうに丼。
予想通りだけど、やはり費用対効果最悪です
浮ついた店に寄った我々が悪いのです。
反省・・・。
さて、能代を経由し、今夜の宿泊場所、大館方面へ。
お目当ての桧山納豆の店は、・・・定休日。(泣)
チェックイン後、街をぶらぶら。
こう言っちゃなんですが、寂れた街です。
シャッターが閉まった店も多く、人通りもほとんどないですが、
きりたんぽの街として知られています。
隣町には、比内鶏の産地として有名な比内町があります。
で、地元の小さなスーパーに寄ってみました。
地元スーパーってねぇ、いいんですよ。
地元の当たり前が詰まってる宝箱 みたいなもんです。
ありましたよ、秋田らしい品々。
スーパーの売り場によく置いてあるレシピは・・・と、
えっ、「カレー味のきりたんぽ」・・・ですか?
“きりたんぽを喰い飽きた地元のみなさん、たまには味を変えて・・・”っていう提案ですよね?
きりたんぽは、もう当たり前なんですねぇ。
おもしろいーっ!
さて、私たちが行ったお店は、
きりたんぽ専門店の「むらさき」。
まずは地酒でしょ。
「地元のお酒はどれですか?」
「この酒っこが~」。
「酒っこ?」
なんてキュートな呼び方!
「かわいいですねぇ、さけっこって」と言うと、
スタッフの女性がはにかんで微笑みました。
うぅ、嫁にしたい秋田美人
鍋の用意は、先ほどのはにかみ美人がしてくれました。
直径5センチはあろうかという太くてどっしりしたきりたんぽ。
手で“穴っこ(かわいい!)”をつぶさないように、
3つくらいにちぎって、土鍋のなかに入れます。
ふっくらモチモチのきりたんぽに、
比内地鶏の香ばしさとうまみが染みて、旨い!
ぜーんぶ食べきったら、
この濃厚なスープに、卵とうどんを入れてひと煮立ち。
これがまた絶品!
はにかみ美人によりますと、
きりたんぽ鍋は、決して外者向けの料理ではなく、
地元の人たちも大好きな料理なんですって。
さすがにきりたんぽを手作りするのはなかなかできないそうですが、
家庭によって、毎回買うメーカーも決まっており、
だし汁の味加減は、やっぱりご家庭それぞれなんだとか。
大館でほんわかした夜を過ごし、
本日は八幡平の温泉エリアを目指します。
途中の道の駅で見つけたのが、写真の“おやき”。
長野の名物おやきは、堅いパンのような生地のなかに、野菜を炒めたものなどを詰めて表面を焼いた食べ物ですが、
この辺でいうおやきは、平べったい大福を油で軽く焼いたお菓子のようです。
これはかぼちゃのおやきです。
地元のお母さんたちが何人か出品しておりましたので、
佐藤さんと菊池さんのを食べ比べてみました。
餅の柔らかさやあんこのコクなどが微妙に違いますねぇ。
お値段も20円ほど違うのは、おやきキャリアの差なのか・・・
さて、いよいよ八幡平です。
ワタシ、温泉好きってわけじゃあないんですけど、
八幡平の温泉は、イイ!本当にイイ!
一件目は、大沼を望む八幡平レークインの湯。
大沼の周りをぐるりと散策した後に入りました。
カンカン照りの太陽の下で、今回はじめての混浴風呂にIN!
周りをぐるりと林に囲まれた野趣溢れるお風呂。
←内湯も味があっていいですよ~。
次に入った後生掛温泉が、本当によかった!
(撮れなくて残念・・・)
木作りで天井の高い昔ながらの湯殿。
湯は少々とろみがあって、肌にまとわり付くような質感です。
ここの名物は、小型の箱型サウナとも言うべき箱蒸風呂と、
墨のように黒い泥が入った泥湯。
この泥湯がねぇ、すごいんですわぁ
肌に塗りたくってみたんですけど、
泥を落とした後の肌のしっとり感がハンパじゃない!
体がてかてか光って、肌に湯をかけるとしゅーっと滑らかにすべる。
最初は、化粧をした顔を濡らさないよう、
気にしながら入ってましたが、
泥を流した後のしっとりお肌を実感したら、こりゃたまらん!
顔に塗りてぇーーー
急いで化粧を落とし、
じっくりじっくり泥を塗りたくってやりました
おかげで、ツメの間が真っ黒です。
ブラシでツメを洗ってもなかなか取れない。
とっても粒子が細かく、粘着質な泥なんですねぇ。
まさに、天然パック。
さて、終着点の盛岡に到着した我々が、
最後の締めに選んだのは、「じゃじゃ麺」!
元祖じゃじゃ麺の「白龍」に行きました。
ここのシステムがおもろいのだ。
1)カウンターのお兄ちゃんに、「じゃじゃ麺一つ」と頼む。
(これはフツー)
2)じゃじゃ麺、登場。真っ白な麺の上には、どてっと肉味噌の塊!
これに、酢やラー油、ニンニク、しょうがなどの調味料や薬味を、お好みの分量だけ調合かけて、麺や具全体とまんべんなく混ぜ合わせる。
3)キレイに皿まで舐めて・・・はいけません!
肉味噌や麺が残る汚れた皿に、テーブルに備え付けの生卵を割りいれてよくかき混ぜる。
4)箸を添えてお兄ちゃんに差し出し、「お願いします」と伝える。
5)お兄ちゃんがスープや葱を入れて、「チータン」(スープ)にして、渡してくれる。
6)薬味や調味料を入れて、堪能。
白い麺は、稲庭うどんのようなつるつるの日本的な麺。
濃厚な肉味噌に、きゅうりや紅しょうが、その他の調味料が合わさって、
ツボを抑えたガッツリ系の味わいになります。
中盛りで500円。チータンにする場合は+50円。
私たちが訪れたのは、16時くらいでしたが、近所の若者や
近くのサラリーマンが来てました。
小腹が空いたときや酒の〆には、もってこいの味と値段です。
盛岡は、中心部に緑と川のある美しい都市でしたが、
この白龍があったような路地がまたいい。
ディープ過ぎない裏の雰囲気があり、
レトロな純喫茶や通なツマミを出しそうな飲み屋もある。
もう少し、ゆっくり見たかったよ、盛岡!
帰りは、さすがに新幹線に乗り込みます。
まだ帰りたくないよぉ、もう少し居たいよぉ
という思いに襲われつつ、
この名残惜しさ、腹八分目の充足感こそ、旅がやめられない理由なのだよねぇ、
と相方と話しながら、目を瞑ったのでした・・・。
・・・追記
五城目の朝市の戦利品、ウチの台所で撮ってみました。
・写真上/「せおいに」とか言ってたやつです。
検索してもヒットしないのですが、ミズの茎ではないかと・・・。塩抜きをして、鶏肉やしいたけなどと煮付けました。
・写真左/おばちゃんが袋にぶっこんだワカメ。
サラダにしたり、きんぴら風に炒めたり、パスタに入れたり、大活躍!
・写真右/「ミズのこぶ」です。茶色のコブが粘る。生姜と昆布と醤油で和えて食べました。うまー。