ハマグリ・あさり、春を楽しむ潮干狩り!も、いいけど掬って楽しい食べても旨いよ!「ホタルイカの身投げ」
近所の居酒屋でホタルイカの天ぷらを食べながら
「ホタルイカ、旬だね~。いいね、いいね~。」
ビールが進む。
ホタルイカの身投げ、見たいな~。掬いに行きたいな~。
・・・あれ?
そういえば今週末、新月じゃなかったっけ?
(携帯で調べる・・・)
機は熟した!
待ちに待った春の新月、
今週末は、富山だ。
* * *
昨年行けなかったホタルイカ掬いの機会をまたも逃しそうになりはしたものの、
直前で気づき、翌日仕事上がりに富山湾へ向け出発。
※ホタルイカがもっとも採れると言われるのは月が出ていない新月の夜といわれている
ひたすら走り続けて、朝5時、富山市に到着。
ネムイぜ。
事前に一度、海岸の様子を確認しに海辺の散策。
誰もいない。
まだ夜は明けたばかりだというのに、打ち上げられたホタルイカ狙いの海鳥さえいない。
穏やかに波が打ち寄せる日本海と、
山の向こうに昇った太陽が、春霞で険しい山々を薄いピンク色に染めていた。
ところで、昨晩の湧き状況はどうだったんだ?
状況を携帯で確認すると、どうやらもう少し西の方でフィーバーが起こったらしい。
* * *
日中はホタルイカも海の底ですから、その間に今晩のホタルイカ漁に必要な道具を調達。
まずは、一番大事なタモ網と、ホタルイカを持って帰るための発泡スチロールの箱。
朝日町の小さな釣具屋さんにて、軒先の傘立てにタモ網が何種類も並んでいるのを発見したので立ち寄ってみる。
傘立てのディスプレイと言えど、立派な物は数千円はしている。
そんな高額な タモ網群 の中から、プラスチック製400円のお買い得タモを買おうかと思っていたのですが、
ここは少し頑張って・・・
ちょっと攻め気味に・・・
990円のスチール製を選択!
990円とはいっても、伸縮性のあるヤツですからね、結構イイ感じ。
イケてます。それっぽいです。
ここで、店主さんにホタルイカ情報を聞いてみる。
店「今年はあまり出ていないみたいだね~。」
私「去年はどうでした?」
店「去年は、んも~~沢山獲れたね!この箱なら2回掬えばいっぱいになるよ。」
と私が購入した発泡スチロールの箱を指した。私の希望は膨らむ。
さらに続けて、
店「ここ(朝日町)は新月の時しか出ないけど、新月じゃなくても魚津とかあっちの方は本場だから採れているよ。
今日は、ここの後ろの海岸なんか長野とか新潟とか、あっちこっちから来てみんな早くから場所取りしているからねぇ~
もう、入る隙もないほどだよ。
ライトなんかも、ほら、あの工事の時使うようなおっきい、明るいやつ、あれを使ってるからね~。」
地元の、しかも釣具店の店主から有力な情報を得たので、早速その場所取り合戦の様子を見に行く。
な、なんか、スゴイ。 もの凄い装備だぞ。
煌々と海を照らしている明かり、その正体は。。。
大きなライトから延びるコードを辿っていくと、最終的には発電機がブンブンうなっている。
真っ暗な海面は、たちまち光に照らされて見通し抜群の状態に!
さらに、異常にでかく、長~~~いタモ。
フル装備の釣人が集まるステージ、新月の夜が如何に凄いのかを思い知った。
* * *
発電機はないにしても、とりあえず必要な道具は揃った。
満潮は午前3時ごろ。
まだ時間はあるので、海沿いを走りながらさらに西へコマを進める。
小さな漁港や、海水浴場も確認しながら魚津港、滑川(なめりかわ)、
さらに、さらに、西へ進み岩瀬浜、富山湾、八重津浜、四方(よかた)までやってきた。
四方に着いた21時頃には、既に多くの人々が漁を開始している。
波止場にはフル装備釣人はもちろん、ファミリー、カップル、釣りが大好きそうな若人など。
部活帰りの高校生や、女子2人組など、見物を楽しむ人の姿も。
地元はとても盛り上がっている様子が伝わってくる。
様子を見ながら歩いていると、波止場近くの人のバケツの中には、大量のホタルイカ!
私「もうこんなに出たんですか!?」
男性「いや~、たまたま、目の前に群れが現れたんですよ。」
私「こんなに一気に!?」
男性「はい、ツイてました~。」
と控えめなお兄さん。
2掬いで、箱が一杯になるという釣具屋店主の言葉が思い浮かんだ。
ふっふっふ。
場所はここに決まった。
早速、スチール製の伸び縮みする “おニュー網” を車から取ってきて、
発泡スチロールの箱も準備完了。
さ、やるぞ!
持ってきていたヘッドライトを海面に向ける。
・・・!?
まてまて、
全 然 見 え ん ぞ !
スイッチがOFFになっているのかと思うほどに、この頭の上のライトは役目を果たしていない。
とりあえず持って来たブレーカーが落ちたときに使っているキャンプ用の小型ライトも照射力が悪い。
よわりましたな。
「闇雲にタモを振っても獲れないよ」と釣具屋の店主にもアドバイスをもらっていたので
このままでは一匹も獲れる気がしない。
・・・波止場で掬っているフル装備釣人達ところで少し様子を見させてもらおう。
致し方あるまい。
すぐ近くの波止場へ上がり、“おニュー網” を海面へ下ろしてみる。
!?
むむむむむ!
タ モ が 海 に 届 い て い な い !!!!
自慢の伸縮を最大に伸ばしても、せいぜい海面を撫でる程度。
フル装備釣人たちのタモは4mもあるのだから、ホタルイカが現れたとしてもまず、フル装備釣人に掬われ、
万が一、おこぼれが流れてきたとしても、、、、掬えないで はないか!
このまま波止場であがいたところで、いつまでたってもホタルイカは網にはかからないだろう。
よし、こうなったら海の中に入るしかない!えいやー!
* * *
冷静に考えると海の中へ入るにしてももう少し威力のあるライトは必要なので、
近くのドン・キホーテへ車を走らせ、大き目の手持ちライトと、長靴を購入。
その後他の場所の様子も気になり、夕方見に行った岩瀬浜、富山湾あたりをまわり
再び四方に戻ってきた。
装備の修正が完了したところで、海へ入る。
しばらく海中に漂う赤茶色の物体を探すが、一向に見つからない。
フル装備釣人方面では、ホタルイカが網に引っ掛かった時に起こる “青いキラキラ発光” が輝いている。
そしてホタルイカのキラキラよりも、ホタルイカ獲りのキラキラの方が多い。
それはそれで海岸沿いがとても綺麗だった。
* * *
隣で掬っていた、若人グループから歓声があがった。
女の子がついにゲットしたようで、黄色い声が響き渡る。
近くにいることは確かだ。
あとは、浮遊物が海藻か、ホタルイカなのかを見極める、もしくは、それらしきものがあれば一気に掬い上げる、というような事を考えながらも、じわじわと若人グループ方面へ寄って行く。(セコいな~・・・。)
腰を落とし、低姿勢で、照らしているわずかな海面を見ていると・・・・
あった!
なんか、茶色い細長いもんが、ふわふわしている!!
えい、えいっ!!!
タモを引き寄せ、物体確認。
こ、こ、これだ!
「 ホ タ ル イ カ 、獲 っ た ぞ ーーー ! 」
しかし、青いキラキラ発光が、ない。
網に引っ掛かった時に、光る筈なのに。
あ、もしかして、もしかして・・・死んでる?
2掬いで箱がいっぱいになるという、ホタルイカンドリームは色褪せていった。
* * *
― 少しでも獲れたてを食べれればいい。 ―
場所を隣の八重津浜へ移動すると、少し少し身投げのホタルイカに遭遇できるようになり
何匹か捕獲することができた。
青いキラキラ発光も間近で見ることができた。
手のひらに乗せると、小さな吸盤でキューっと。
ああ、かわいい。なんだか、愛おしさすら覚える。
それだけで、十分に心は躍る。
命を繋ぐホタルイカの身投げは、私達に幻想的な春の海景を見せてくれ、
その最後を人が、鳥が、海からの贈り物を有り難くいただく。
早すぎる朝ごはんですが、ホタルイカを早速いただきます。
獲れたてを一番新鮮なうちに、その場で食べる、旬食の醍醐味。しあわせだ~。
人のいなくなった浜、ガスストーブで湯を沸かし、ホタルイカを茹でる。
具材に合わせて味噌汁を作る。
ホタルイカはぷりぷり。
富山湾の波の音を聞きながら、
長い夜を思い出しながらいただく、贅沢な味噌汁。
五臓六腑に染み渡るわーー。
* * *
東京の居酒屋で食べるだけではなく、現地(海)へ足を運び、
その土地ならではの環境の中で、触れて、考えて、体験して食べるホタルイカは、
数は少なくても格別なものだった。
新月の夜がいいとか、凪(なぎ)でないとダメだとか、ホタルイカは産卵の為に上がってくるのだとか、
居酒屋で「今日のお薦め」を食べているだけではなかなか知る事が少ないと思う。
多分、知っていた方が東京での食事も
遠い富山湾からの恵みだと、より美味しくいただけるんじゃないかな。
また行くぜ、富山。
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【おまけ】北陸探訪
ホタルイカは夜にしか獲れないので、日中は何をしていたかというと、
①まずは、朝一番に立山黒部アルペンルートへ。
開通3日後だったので、雪の壁は大迫力。
②えんじのトクー!カラーも同じ色ということで、
加賀友禅の加賀五彩をモニター上ではなく本物の色を見てきました。
金沢駅にも随所に加賀五彩が散りばめられています。
③残雪の北アルプスとチューリップという組み合わせ!
白馬岳までも!白馬村からの景色もいいけど、北アルプス、桜、チューリップ
春の三段錦ですかね、とても良い!
④金沢で人気の回転すし屋にて、ホタルイカ生、茹、どちらもいただきました。